ReviCo レビコ > 化粧品サイトにおけるレビュー・NPSの重要性と定性データを活用した今後のマーケティング戦略とは
杉﨑氏:どの業界でもそうだと思いますが、ECサイトはだれかと相談したり、自分以外の人の意見を確認したりすることなく買い物する場所になってしまいます。
そのような中で背中を後押しできるお客様の生の声などが掲載できれば、魅力的なサイトになるのではないかなと考えていたため、コーセーが運営する複数のサイトにReviCoを導入しレビューを収集、掲載することになりました。
特に、化粧品は消費財であるため、感触や香り、メイクアイテムであれば実際の色などの情報をメーカー側からも発信するのですが、お客様の言葉・表現によるレビューが一番わかりやすく伝わるのではないかと思っています。
杉﨑氏:嗜好性の商材であるため、デジタルで買い易くなった環境下とは言え、画面上だけでは伝えづらい情報もあるというのは、便利な世の中になったとしても、常に課題になると思っています。
そのような中で香りや感触などの感性的なものを伝えるためのデジタル機能の開発は今後必要になってくると思っていますし、そういったシステムやツールが出てくることが今後重要になると思っています。
杉﨑氏:香りや色、使った感触、それからお客様ならではの使い方など、新たな気付きになるコメントが寄せられます。
また、こんな場面の時には、こういう香りや色を使っています等、お客様自身のライフスタイルに沿った形でのコメントもあるため、メーカー側からは発信できないようなリアリティのある情報も多く、やはり第三者であるお客様のレビューコメントは、価値向上につながると思います。
Maison KOSÉサイトで実際に寄せられたお客様のレビュー
実際に、香りや色に関するレビューコメントは、メルマガのコンテンツで参考にすることもあります。
この香りとこの香りの組み合わせがおすすめですよというような、お客様の口コミを反映させた形で、施策に活かしています。
JILLSTUARTサイトで実際に寄せられたお客様のレビュー
※自動タグ生成機能とは
レビューコメント内で頻出する単語を自動で抽出しサマリーする機能です。
ユーザーが気になるタグをクリックすると、その単語が含まれるレビューが絞り込まれて表示されます。
杉﨑氏:ページ遷移が増えるのは間違いないと思っていて、お客様があたかもリアル店舗でウィンドウショッピングをしているような形で、プラプラと歩いてもらうというところに関しては、非常に効果があると思っています。
特に化粧品はアイテムがあればあるほど探す楽しさもあるのですが、何も情報がない場所で探すよりは、ある程度お客様の趣味嗜好に合うようなところへ誘導してあげた方がいいと思うので、そういう意味で自動タグ生成機能は、案内板や、地図のような形で機能していると思っています。
感触や香りなどは人によって表現方法が少しずつ違うため、なかなか難しいと思いますが、反対に規定に沿った言葉ではなく、身近で感覚的なワードで表現されるのは、お客様にとって分かりやすいのではないかと思います。
Maison KOSÉサイトで実施中の自動タグ生成機能で表示されるタグの一例
※コピーレビュー機能とは
総合ECサイトとブランドサイト間で、双方でレビューを集め、共有する機能です。Maison KOSÉサイトで雪肌精の商品のレビューが投稿された場合、雪肌精のECサイトにも同じレビューがコピーされ掲載される機能です。逆パターンの場合もコピーされ掲載されます。
ReviCo:コピーレビュー機能を実施することで、レビューの量をどのサイトでもある程度確保したいという目的があったのでしょうか。
杉﨑氏:レビューの量は間違いなく必要だと思っており、その中でもそれぞれのブランドの性格に合った色のあるコメントが、それぞれの箱(サイト)の中で出てくると思っています。
ブランドサイトは、やはりそのブランドのファンの方々が、まずはコアターゲットになっており、その方たちの熱いコメントが入ることによってさらにファンの方々が活性化するというような一つのファンクラブのような形で回っていくのだと思います。
| オフラインでも顧客の声を収集・活用されていますか?
ReviCo:MaisonKOSÉは実店舗も展開されており、スキンケアレッスンなど体験型のサービスも多く実施されていますが、オフラインで顧客の声を収集・活用されている事例があれば教えてください。
杉﨑氏:コーセープロビジョンでは、直営のECサイトでNPSを収集しており、お客様のコメント・評価は毎月トレースをして、数値が上がったか下がったか、どんなコメントがあったかというところは確認するようにしています。
これはECだけではなく店頭でも実施しています。
少しのNPS数値の変化でも、やはりお客様のコメントに変化が見えてくるため、毎月必ず確認してPDCAをまわすようにしています。
その中から、例えばサンプルをもっと同梱してほしい、選べるサンプルを増やした方が良い等という、施策についてのコメントがある場合は、非常に細かい内容だとしても、実際にその施策を行うことで結果的にNPSのポイントが上がったという事例もあるため、少しずつ積み重ねて、だんだん良くなって来ていると実感しています。
杉﨑氏:コーセープロビジョンとして、お客様の声をいかした形でPDCAを回すようにしているため、NPSのポイントをKPIとして取り組んでいます。
方法としては、メールを使ってNPSを収集しています。
NPSの質問は、毎月ではないですが、あまり意味のない内容になってきたなというタイミングには柔軟に変えるようにしています。
杉﨑氏:そうだろうなと思うものが、ほとんどでした(笑)
良いコメントも含め、沢山のご意見があるため、なかなかすべてには対応できていないのですが、各担当者としてやらないといけないToDoが、NPSのコメントからある程度明確になってくるため、やはりこういったNPSで収集できるコメントは、非常に重要だと思っています。
レビュー投稿時のNPS回答画面
杉﨑氏:LTVはなかなかすぐ数字が変わるものではないため、中長期的な取り組みが必要であると思っています。
先ほどの自動タグ生成機能の話もそうですが、レビューやタグなどのコンテンツを設けることで、お客さまに色々な商品ページに遷移してもらえるため、やはり最終的にLTVの向上に繋がると思っています。
理想は、あたかもリアルな化粧品店のカウンターにいるようなサイトにしたいと思っているため、お客様の声や弊社の美容部員の声などをたくさんコンテンツとしてつめ込む、また、お客様の声を活かした施策を実施することで、じわじわとLTVが上がってくるのではないかと期待しています。
杉﨑氏:リアル店舗はコンセプトストアという形をしているので、弊社の色々な知見・技術などの、まだ試すという段階のサービスを実際にローンチさせてみて、その中でお客様の声をたくさん拾って改良し、また新しいサービスにしていくというところを繰り返し行っています。
その中で得られたことは、オンラインにも活かしています。
オンライン(特にMaison KOSÉ)の方は、やはりコーセーの全アイテムが見られる、ご購入いただける場所にしているため、スタッフの声やお客様の声はもっともっと充実させていきたいなと思っています。
現在Maison KOSÉでは4,000~5,000SKUほど取り扱っているため、その中からお客様にあった最適な商品を見つけて頂く手助けになるのが口コミやレビューなどのコンテンツだと思っています。
杉﨑氏:5年前のような、お金を投下して新規顧客をウェブで獲得できるという時代がありましたが、もうそうではなくなってはきていると感じています。
今も広告は重要だと思いますが、すべての商材が、ウェブ上で買えるようになってきた中で、やはりサイトに来た時、もしくはサイトの手前で、どんな魅力的なブランドなのかというのを見せるやり方が重要で、昔のようなクリエイティブ作って、バナー作ってwebオンライン広告をやっていた時と、クリエイティブの役割が、口コミやレビューにだんだん変わってきていると思っています。
熱量のあるレビューコメントがたくさんあるブランドをお客様が見てちょっとでも好きになって、実際商品を使って、さらにそのお客様がまた熱量を持ってコメントを書いてくれる、というような一つのCRMの施策になりつつあるのではないかなというふうに思っています。
そのため、レビューや口コミがだんだん当たり前というか、デフォルトなコンテンツになってきていると思うので、早くレビューの収集を始めて量を貯めておいた方が良いに越したことはないと思います。
弊社の場合は、お客様のコメントと、プロである美容部員のコメントも加えたコンテンツを展開することによって、店頭と同条件にしようと取り組んでいます。
今後は、ただお金をかけて宣伝広告するという形から、レビューや口コミなどのコンテンツ活用の強化に切り変わっていくのではと思っています。
JILLSTUARTの2022年クリスマスコフレに1091件のレビューが集まり、熱量の高いコメントも
杉﨑氏:レビューの集まり方は、ブランドの性格やそこに集まっているファンの方々の性格によると思っていますが、ハマるブランドであれば、お客様の声はとても拾いやすくなると思います。
弊社の場合、コアターゲットにブランドへの熱量が高いお客様の多いJILLSTUARTがうってつけなのだと思います。
コアターゲットの中に熱量が高い人達が沢山いるブランドであればあるほど、レビューはとても役に立つと思います。
ReviCoの機能では、簡単な承認機能があり非常に運用しやすいため、レビュー数が増えたとしても、オペレーション工数は非常に低いです。
化粧品は薬事について十分に注意が必要ですが、承認・チェック体制をしっかりと整えていれば問題ないかと思います。
また、基本はタグを入れるだけで手軽に始められ導入しやすい点もよいと思います。
熱量が高いコアファンがいるようなブランドや商材は非常にレビューが集まりやすいと思いますし、そういう方々のコメントほどおそらく今後の施策に活かしやすいと思うため、ReviCoを活用してレビューを集めるのは有意義なのではないでしょうか。
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コーセープロビジョン会社
代表取締役社長
杉﨑洋氏
Maison KOSÉ(メゾンコーセー)
JILL STUART Beauty(ジルスチュアートビューティ)
ADDICTION(アディクション)
米肌(まいはだ)
雪肌精(せっきせい)
●取材・文:中尾 朱里